こんにちは、おゆひよこ(@oyu_sound)です!
「オリジナル楽曲を作ってほしいんだけど、どうやってお願いしたらいいの?」
こんな悩みを抱えている活動者さんのために、作曲家である僕が『オリジナル楽曲制作の依頼方法とやり取りの流れ』をざっくりと解説します
依頼料の相場・依頼するときのポイント・具体的な制作フローについても詳しくまとめたので、ぜひ参考にしてみてください◎
今回は、実際に「VTuberのんもゆ(@guzz_pso2)さんから楽曲制作依頼をお受けしたときのやり取り」を交えながら説明していきますね
楽曲制作の依頼方法は大きく分けて3通り
楽曲制作の依頼方法は、大きく分けて以下の3通りです
- 作曲会社に依頼する
- クラウドソーシングを活用する
- 個人のクリエイターにお願いする
作曲会社へ依頼する場合のメリットとデメリット
音楽制作会社や広告代理店などの作曲会社へ依頼する方法です
メリット
- 機材やスタジオなどの設備が整っている
- 専属の作曲者やミュージシャンが所属している
- TVCMやWeb広告で流れるようなクオリティの高い楽曲が期待できる
デメリット
- 楽曲制作にかかるコストが高額になりやすい(機材や設備の使用料やクリエイターの人経費が必要となるため)
クラウドソーシングを活用する場合のメリットとデメリット
クラウドソーシングとは、仕事を外注したい人と仕事を受注したい人を「インターネット上でマッチングするサービス」のことです
メリット
- 作編曲家・サウンドクリエイターを多く見つけることができる
- 複数の登録ワーカーを比較検討したのち、適した人材に依頼できる
- 比較的安価で、料金や納期、依頼内容の詳細について個別に相談・交渉が可能
デメリット
- 必ずしもクオリティの高い楽曲ができるとは限らない
おすすめのサービス
クラウドソーシングのサービスでおすすめなのは「 ココナラ 」ですね
ココナラはスキルを気軽に売り買いできるオンラインのスキルマーケットで、クライアントとクリエイターをつなぐ役割を担ってます
やり取りは1対1で非公開、匿名での相談も可能です。「プロに頼む予算はない」「相談できる相手がいない」といった場合にはココナラがおすすめです!
すでに会員登録をしている方は、以下のリンクから条件にあいそうな人を探してみてください
▶ サービスをさがす
個人のクリエイターにお願いする場合のメリットとデメリット
TwitterやFacebookなどのSNSやブログを通じて、個人の作曲家に直接お願いする方法です
個人クリエイターの多くは過去に制作した楽曲・実績・得意ジャンルなどを公開しているはずなので、完成イメージに近い作品を作っている方を探してみましょう
メリット
- 比較的コストを低く抑えられる場合が多い
- 特定のジャンルにおいてハイクオリティな制作が可能であることが多い
- SNSの特性上、個人間でのやり取りが比較的カンタンかつ気軽に相談しやすい
デメリット
- 人柄やスキルをきちんと見極める必要がある
- 専門性が低く、対応できるジャンルが少ないケースがある
相場の目安
作曲会社 | 10万円~ |
クラウドソーシング | 1万円~ |
個人クリエイター | 1万円~ |
参考までに、プロ作曲家である「夏海ルイさん」の料金表を掲載しておきます(引用元:プロ作曲家の料金表お見せします!!DTM|価格相場|ギャラ - YouTube)
1~30トラック | 31~50トラック | 51~トラック | |
BGM | ¥15,000~¥20,000/分 | ¥20,000~¥30,000/分 | ¥30,000~/分 |
例 | ピアノとメロディー楽器の曲 アコギとフルートとパーカッションの曲 リラクゼーション系の曲など | シンプルなバンド編成 民族楽器、ケルトなど このボリュームになる 楽曲が一番多いです。 | フルオーケストラ 分数が長い楽曲 など |
Jingle | ¥3,000~¥5,000 | ||
SE | ¥1,000~¥2,500 |
備考:①サウンドトラックに収録するなど楽曲自体を流通させる際には別途印税契約を締結します。
楽曲制作を依頼するときの2つのポイント
どんな曲を作りたいか明確にしておく
曲の雰囲気や長さ、使用楽器、参考曲など、なるべく明確にしておきましょう
事前情報が多ければ多いほど認識の共有がしやすくなり、より完成イメージに近づきます
納品スケジュールには余裕をもつ
お披露目する日程が決まっていれば、その日から逆算して作曲家へ依頼をしましょう
レコーディングや修正する時間なども考慮し、余裕のあるスケジュール調整を行うことが大切です
特に、楽曲制作の依頼がはじめてであれば慣れないことも多いかと思うので、念のためトラブルがあった場合のことも考えておくと安心です
作曲者側としては、少なくとも2週間前には相談していただけるとうれしいです
依頼内容によっては1週間前でも対応可能なケースもありますし、急ぎであれば3日前でも大丈夫です
ただし、ギャランティと納期の余裕は曲のクオリティに直結するので、どちらにせよ余裕があることには越したことはありません・・・
全体の流れ
全体の流れは主に以下の5ステップです
- 依頼内容をまとめて連絡
- 見積書や契約書の発行
- 楽曲のラフを確認
- 最終データ提出
- 金銭授受など
今回は「個人クリエイターにインストのオリジナルBGMをお願いするケース」を例に進めていきますね
依頼内容をまとめて連絡
以下のような内容を含め、楽曲制作依頼の詳細をまとめます
目的:YouTubeのオープニングで使うBGMを制作したい
予算:1~2万円で対応してほしい
納期:○月上旬までに納品してほしい
曲の長さ:30秒ぴったりで制作してほしい、3~4分程度で制作してほしい
制作楽曲のイメージ:参考URL
※一例なので参考程度にどうぞ
著作権譲渡契約の有無、使ってほしい楽器がある、生演奏で制作してほしい、楽譜がほしいなどの要望もこの段階で伝えておくとスムーズです
あと、VTuberさんが歌ものをお願いする場合は「歌パートは自分が担当したい!」ということがほとんどだと思います
こういった場合には、依頼の連絡段階で『歌唱部分は在宅での収録(宅録)でも対応可能か?』を作曲家側に確認しておくといいでしょう
連絡方法は?
連絡はTwitterのDMやEメール、コンタクトフォームなどから行います。作曲家によって対応可能な方法が異なるのでよく確認しておきましょう
個人クリエイターにお願いする場合、ほとんどのケースにおいて制作は1人で完結します
規模によっては他の作編曲家であったり、演奏者、エンジニアの協力が必要となりますが、基本的には受注側が交渉やスケジュール調整も進めていきます
著作権の取り扱いについて
よく勘違いされやすいですが、原則として著作物を制作した人、つまり著作者が「著作権」を持っています
たとえば、あなたが作曲者で、YouTuberさんから依頼を受けてオリジナル楽曲を納品したとします。この場合、楽曲の著作者は、創作者であるあなたです
クライアントから料金を受け取って曲を引き渡す場合でも、移るのはあくまで「所有権」であって、必ずしも「著作権」を譲渡したことにはなりません
著作権の譲渡を行わない限りは、作品自体が発注者のもとに移ったとしても「著作権者」は作曲家であるあなたであり続けます
実例
今回、僕がご依頼いただいたケースは「完成済みの動画にあうオリジナルのBGMを作ってほしい!」というものでした↓
ファイル転送サービス(ギガファイル便)経由でMP4ファイルを送ってもらい、動画を観ながら楽曲イメージを練っていくのですが・・・
お問い合わせの段階であらかじめ僕の過去作品の中から参考曲を3つ提示してもらっていたので、楽曲の完成イメージがしやすく、とても助かりました!
そのほか、メールのやり取りの中で「これだけは外せない!」といった要素もざっと提示していただきました。具体的には、感情・単語・色・食べ物・動物などですね
結果として「ポップ・かわいい・コミカル・キャンディー・わくわく」というキーワードが出揃ったので、このイメージに沿ってラフ制作をしていきました
見積書や契約書の発行
依頼内容をまとめて作曲者へ連絡したら、メールでなどで見積もりを出してもらうか、見積書を作成してもらいます
作曲者によって見積書のフォーマットが異なるので一概には言えませんが、トータルでかかる料金のみ提示されるケースが多いかと思います
中には、以下のような項目ごとに料金を算出し、提示する方もいらっしゃいますね
「作曲料・作詞料・編曲料・修正料・録音料+演奏料・著作権譲渡料」
予算や納期などの見積もりに依頼側・作曲家側の双方が合意したら、業務委託契約を結びます。必要に応じて契約書の作成を行いましょう
法律上、お互いに契約する意思を示した時点で契約が成立するので、極端な話、口頭やメールだけでも業務委託契約を結ぶことができます
ただし、このケースにおいても後々契約内容を確認できるよう、メールでのやり取りはきちんと保存しておくことが大切です◎
契約手続きに不安があったり、取引金額が大きい案件の場合には、契約書を作成しておくと発注者・受託者ともに安心して取引をすることができるでしょう
楽曲のラフを確認
楽曲のラフ(仮制作)段階で一度音源を提出してもらい、完成イメージと方向性があっているか確認します
歌ものであれば、歌詞とメロディーが決まった時点、弾き語り or ラフアレンジの音源でしょうか
とはいえ、弾き語りから完成音源をイメージするのはなかなか難しいので、ある程度アレンジを進めた上で再度ラフ提出をお願いするのもひとつの手ですね
また、ボーカルや演奏家の生録音が必要になる場合、録音後の修正や変更はとっても難しいです
余計な時間と手間を増やさないためにも、ラフ段階でしっかりと方向性を確認しておくことが重要になります
作曲家メモφ(・・
- ラフ提出は早ければ早いほどいい
- ざっくりと方向性がわかるぐらいのクオリティで大丈夫
- 候補曲が複数あるとより正確な完成イメージの方向性をつかみやすい
実例
今回の僕のケースでは「動画にあった楽曲を作る」パターンだったので、動画の尺にあうように曲のテンポを決定したのちに作曲を行いました
ラフ段階では完成度50%ほどの印象の異なるBGMを2曲用意し、こちらで動画とあわせてMP4ファイルをラフ案として提出しました↓
最終データ提出
完成した音源を確認し、必要に応じて作曲家に修正を打診します
「曲の終わり方を変更してほしい」「全体的にもっと明るい印象の音色にしてほしい」
作曲家によっては修正につき追加料金がかかるケースもありますので、見積もり時点でよく確認しておきましょう
僕の場合、修正は3回まで無料とし、よっぽど修正箇所が多い、もしくは大きな変更でない限りは追加料金はいただかないことにしてます
ファイルフォーマットの最適化について
最終データが完成したら、連絡段階であらかじめ決めておいたファイル形成(WAV・MP3など)で音源を提出します
WAVファイルの48khz 24bit(CDに焼く可能性がある場合には44.1khz 16bit)にしておけば、ほとんどのケースにおいて間違いありません
実例
ラフ提出→確認→修正といった工程を2~3往復し、最終的な音源データが完成しました↓
金銭授受など
音源データの納品完了後、銀行振込やクレジットカード払いなど指定された方法で料金を支払います。作曲者によっては報酬が先払いのケースもありますので注意しましょう
フリーランスの作曲家へ依頼する場合、依頼側が源泉徴収を行った上で支払うことがほとんどです
源泉徴収の計算方法は令和5年現在「報酬・料金額の10.21%」となっています(1回の支払いが100万円を超えた場合は、超える部分は税率20.42%)
たとえば、ギャラが10,000円だったとしたら、1,021円が引かれます。手取りを1万円に調整したい場合は、支払金額を10,021円にすれば、消費税(10%)1,002円、源泉徴収額(10.21%)1,023円となり、手取り額が10,000円になります。逆算方法は、手取り額(引き落とし額)÷99.79%です
源泉徴収税の計算は、Ke!san - 原稿料や講演料等の源泉徴収税を計算を活用すると便利ですよ◎
まとめ
ざっくりとではありますが、楽曲制作の依頼から作成、納品までの流れを説明させていただきました
依頼者や受注者によって細かいルールや考え方にちがいがあるので、今回ご紹介したものはあくまで一例となります
特に金銭のやり取りを伴う契約については、その場の状況に応じて柔軟に行動や考え方が重要になります
トラブルを避けてお互いが気持ちよく取引できるよう、臨機応変な対応を心がけておきたいものですね!!!!