こんにちは、おゆひよこ(@oyu_sound)です!
『ボカコレ(The VOCALOID Collection)』は、ボカロに関わるすべての人が参加できる「ボカロの祭典」です(主催は『ニコニコ』でも有名な株式会社ドワンゴ)
"ネット最大級のボカロ楽曲投稿祭"と銘打っているだけあって、前回の「ボカコレ2023春」では、なんと約6,000件(!)の作品投稿数がありました
しかしその一方で、ボカコレがクリエイターに精神的な悪影響を及ぼしている問題も指摘されています・・・
今回は「なぜボカコレはボカロPの精神を病ませるのか」を深く掘り下げていきましょう!
(余計な混乱を避けるため、前半部分ではなるべく「客観的事実」を中心に取り上げ、後半部分で「僕の意見」を書いてます)
また、あなたが自分自身のメンタルケアをどのようにしているか、SNSやコメントで共有してもらえるとうれしいです!あなたの経験が他のクリエイターの助けになるかもしれません
ボカコレで傷ついてしまった戦士たち(ボカロP)へ
数字が原因で傷心してる人に向かって「数字なんて気にしなくていいよ!」なんて僕は言えないし、言うつもりもないし、そもそも"気にするな"って言われて気にしないほうがムリだし
なので、せめて何かのヒントになればと思って『音楽クリエイターのメンタルケア。病みやすい9つの理由と対策法』という記事を書きました
メンタルに深刻なダメージが入ったときの回復方法は人それぞれちがうから、すっきりした答えを提示するのはとてもムズかしい・・・
でも、あなたが答えを探すお手伝いはできます。メンタルケアの方法を模索している方はぜひ以下の記事を読んでみてください
ボカコレの問題点を知りたい方はこのまま本記事のつづきをどうぞ!
-
音楽クリエイターのメンタルケア!病みやすい9つの理由と対策法
続きを見る
ボカコレの問題点を整理しよう
問題点としてよく指摘されるのは以下の2つ
- ランキングシステム
- 内輪ノリ
それぞれ詳しく見ていきます
(※TwitterやYahoo!知恵袋で入念にリサーチした内容をわかりやすくまとめて掲載しています)
1.ランキングシステムについて
①数字への過度な注目
ボカコレでは「ランキングシステム」が採用されており、投稿された作品は再生数やコメント数などをもとに順位が決まります(ランキング順位はイベント期間終了時まで変動)
結果として「作品の評価=数字によって決まるもの」という認識が強まり、自身の価値と作品の評価を直結させてしまうクリエイターが続出・・・
このことから「ランキング形式による競争が『数字への過度な注目』を促進し、クリエイターの精神的負担を増加させている」と分析することができます
②新規参入のクリエイターにやさしくない設計
ボカコレのランキングシステムでは、公正性を確保するため「集計式」自体は非公開となっており、スコア集計に利用される指標のみが公表されています
よくある質問 | ボカコレ公式 2023夏
各ランキングの集計に利用されるスコア・集計式を教えてください。
各ランキングのスコアは、ニコニコ動画のランキングと同様、「再生数」「コメント数」「マイリスト数」「いいね!数」をもとに集計します。集計式は、この仕組みを悪用される恐れがあるため公開しておりません。
システムの性質上、知名度が高いクリエイターがランキング上位に入りやすい傾向がある一方で、新規参入のクリエイターが注目を集めることは困難であるといえるでしょう
本来、そのための「ルーキーランキング」なのですが、経験豊富なクリエイターによる初心者枠の悪用(俗にいう"転生")という問題もあるので完璧に機能しているとはいえません・・・
コレは一見すると「参加者側のモラルの問題」ですが、全参加者の経歴チェックが現実的ではない以上、システムの欠陥ともいえます(性善説をもとにした前提条件がくずれてしまっているので)
知名度のあるクリエイターが上位に入りやすい設計になっているということは、イベント外での活動がランキングに直接的な影響を及ぼしているとも言い換えられます
でもその一方で「ボカロPデビューから2年以内」という"時間的な制約"を持たせてしまっている・・・
つまり、必然的にクリエイターへの注目度(知名度)には格差が生じてしまうわけですね
③創造性の欠如とリスナーへの影響
ランキングは、視聴者やファンの意見を反映する一方で、競争と比較をうながし、クリエイターに不公平感やプレッシャーをもたらします
つまり「ボカコレのシステムがクリエイターに心理的負担をかけ、結果としてクリエイティブな表現に影響を及ぼす可能性があるよ!」ってこと
また、クリエイティブな表現の制限は、長期的に見れば"視聴者の音楽体験"に影響を及ぼす可能性もあると考えられます
視聴者は新しい才能を発見したり、多様な音楽を楽しんだりすることができますが、同時にランキングシステムの仕様からその多様性が失われたり、良質な作品を見過ごされたりする可能性にもつながるからです
④曲、埋もれる問題!知名度と楽曲の露出度の関連性
※この項目は個人の考察が入っているため、客観性に欠ける場合があります。ご了承ください!
これまでの内容とかぶる部分があるんですが、なんといっても「曲、埋もれる問題」がボカロPの精神を病ませている大きな原因のように感じます
ボカコレでは「再生数」「コメント数」「マイリスト数」「いいね!数」をもとにランキングを決定する形式を採用しているため、どうしても『元から知名度があるクリエイター』が有利です
具体的には、Twitterで多くのフォロワーがいたり、YouTubeのチャンネル登録者が多かったり…などですね(特にボカコレは、Twitterで楽曲が拡散されることが多い傾向にある)
たとえば、ギター演奏やイラスト、動画制作、MIX、マスタリングなどの工程を、それぞれ知名度のあるクリエイターに外注したとしましょう
こうなると当然"作品の宣伝をするクリエイター"も増えるので、楽曲公開直後のスタートダッシュが「一人ですべての工程をやっている場合」に比べて圧倒的に強いです
運よく作品を見つけてもらえて、口コミきっかけで拡散してもらえたとしても、初動が遅れると最終的なランキング順位をあげることはなかなか難しいように思います(アルゴリズムで、なるべくいろんな楽曲がランキングに掲載されるようにはなっていると感じますが…!!!!)
『ボカコレ全曲周回するぞ!』という強リスナーも一定数いるものの、たぶん過半数のリスナーは「その時点でのランキング10-20位まで」を聴いてくれるかどうかじゃないかなあ~と僕は思ってます
果たして、50位や100位まで楽曲をしっかり(ワンコーラス分だけでも)聴いてくれるリスナーは、クリエイターを含めてどれほどいるのか・・・
そういった意味でも、これから取り上げる「内輪ノリ」とされやすい行為や行動、具体的には「Twitterでのリスイン・自薦文化」や「Discordサーバー等でのコミュニティ形成」はランキング順位を伸ばすために有効な手段のひとつ呼べるのではないでしょうか!
ただし、これらの行為は価値観やモラル、美意識のちがいから、あまりよく思われていない可能性があるということも理解しておきたいですね・・・
2.内輪ノリについて
内輪ノリと一口にいっても、いくつか異なるものが混在しているようです。以下、調査内容まとめ!
- ボカロP同士での馴れ合いによる内輪ノリ
- Discordサーバーでのコミュニティの形成
- ニコニコ特有の文化による内輪ノリ(ネットミーム含む)
- Twitterのリスインによる自薦文化(作品周回用のリストを作成してお互いに作品を聴きあう)
具体的には、
「Twitterのリスト機能をつかった過度な自薦行為に違和感を感じる」
「ボカコレは結局、表現者側だけで盛り上がってるだけでもったいない」
「内輪ノリのせいでリスナーや新規クリエイターがコミュニティに入ってきづらい」
といった声がありました
いずれにしても『コミュニティの分断への懸念』が共通のキーワードになっているといえそう?
- 内輪ノリに参加できず、疎外感や孤独感を感じている
- コミュニティ内での派閥や偏見により、精神的なストレスを感じている
- 新規クリエイターやリスナーがコミュニティに入りづらい状況により、自分の作品が十分に評価されないと感じている
- 過度な自薦行為により、作品の品質よりも宣伝力が重視される風潮によって、自己価値を問われるような状況に感じている
今回はあくまでわかりやすくするために「内輪ノリ」と一括りで囲いましたが、特に「ボカロPと各コミュニティの関係性」は精神的な問題につながりやすい要因だと感じました
ここまでのまとめ
ここまでの調査内容まとめです!!!!
- ボカコレがボカロPの精神を病ませる理由は、大きく「ランキングシステム」と「内輪ネタ」の影響によるもの
- ランキングシステムの問題点は大きく4つ
- 数字への過度な注目
- 新規参入のクリエイターにやさしくない設計
- 創造性の欠如とリスナーへの影響
- 曲、埋もれる問題!知名度と楽曲の露出度の関連性
- いわゆる「内輪ノリ」の問題点は「コミュニティの分断の懸念」に集約される
- 【結論】自身の作品や才能に対する自信喪失、孤立感、コミュニティの風潮に対するフラストレーションなどが、クリエイターが精神を病む原因になっている
以下、僕なりの意見です
僕の意見
ランキングシステムについて
僕はボカコレを「普段の活動の結果発表の場」だと思ってるので、ランキングシステムについては特に反対意見はありません!
数字への注目を煽っていることはたしかだし、システムに少なからず欠陥があることは事実です
でも、数字によって作品の価値が評価される風潮は、ボカコレだけに限らず、TwitterやInstagram、YouTubeなどのSNSにもいえること
ランキングシステムがすべてのクリエイターにとって必ずしもネガティブな影響をあたえるわけじゃありません
むしろ、ボカコレをひとつの中間地点と定めて、普段の活動をがんばる理由になっているクリエイターもいると思ってます
クリエイターができることといえば「数字による精神汚染の自衛」ぐらい。メンタルケアもオシゴトのうち
内輪ノリ
ボカコレはあくまで"ニコニコのお祭り"なので、内輪ノリがあることは仕方のないことです。もはやそういう文化です
内輪ノリが新規参入者の障害になっていることは否定しないし、ボカロP同士が盛り上がっているだけだともったいないというのは僕も思います
でもそれはボカコレっていうよりかは、ボカロ界隈、ひいては「作り手と受け取り手の問題」であって、クリエイターひとりひとりが解決すべき課題なんじゃないかなって。
あと、なにより「マーケティングってなにしたらいいかわからない」っていう問題もある気がしてます。売り込み方とか、宣伝の仕方とか・・・
その選択肢のひとつとして、Twitterのリスイン・自薦文化があったり、ニコニコ文化のネタを作品に取り入れる手法があったりするのだと思います
そしてこれは、クリエイティブ性の喪失とはちがうベクトルの話です
ネットミームを作品に絡めて数字を取りに行こうが、Twitterで自薦しまくろうが、それはクリエイターの自由!
僕はどんなムーブメントも最初は内輪ノリからはじまると思ってるし、程度こそあれど「使えるものはどんどん使ったらいいよ」と思ってます
いい作品が自然と上がってくる仕組みになっていることが一番だけど、現状、作品の質よりもマーケティング戦略の重要性が増しているといっても過言じゃありませんので・・・
世知辛いね!!!!
まとめ
僕の意見は上で述べたとおりです。それぞれにいろいろな意見があると思いますが、建設的な議論をする上でも情報の整理はだいじかなと思って記事を書きました
あと『音楽クリエイターのメンタルケア!病みやすい9つの理由と対策法』っていう記事も書いてるので、よかったら参考にしてみてください
-
音楽クリエイターのメンタルケア!病みやすい9つの理由と対策法
続きを見る